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マイクロツーリズムを越えた新しいアウトドア市場

2023.07.03
■「月極」利用者が増大するキャンプ場

今日は朝から兵庫県西宮市にあるキャンプ場にお邪魔してきました。
宿泊ではなく、勉強のための視察で・・・。
友人の黒ちゃんから
「西宮市に予約が絶えないキャンプ場がある」
「利用者がコアキャンパーではなくフツーの一般人多数」
「キャンプ場だけど月極利用が設定されていて、多数の月極利用者でキャンセル待ち」
と言った情報を教えて貰っていて、是非一度この目で確かめたく参上しました。

先ず最初の驚きは、JR芦屋駅で黒ちゃんの車に乗車してから約20分で到着!!
都心部から20分間で自然あふれるロケーションに身を委ねることが可能な立地です。

オーナーYさんの笑顔で迎えていただき、色んな会話を交わしながらキャンプ場内をご案内いただく。
有名な輸入車販売会社を早期退職され、先ずは4,000坪の土地を購入、30サイトのキャンプ場からスタート。
その後前述した「月極」予約が好調で、追加で4,000坪を購入され、現在合計8,000坪の敷地に100サイトまで拡大されています。

隣接した農家さんとの連携でリアルな「農園体験」が可能であったり、大工さんお手製の子供遊具があったり、
テントサウナでのサウナゾーンがあったりはしますが・・・一見はフツーの素敵なキャンプ場です。

ただ、一つ大きな違和感があったのが、一つのキャンプサイトにはブロックを丁寧に積み上げたオリジナルかまどが設置されていたり、
一つのキャンプサイトには可愛い目隠し柵が常設設置されていたり、一つのキャンプサイトには常設的なタープが設置されていたり、
一つのキャンプサイトには太陽光の誘導灯が埋め込まれていたり・・・通常のキャンプビジネスはスペース貸しなのに・・・何故?みたいな。

答えは「月極」でした。
月極契約の利用者が、借りたキャンプサイトスペースを「マイスペース」として各自の発想でDIY的に作りこみをされていたのですね。
これは1日、1泊限りの利用者が多数のキャンプ場では見られない光景です。
恐らくこのキャンプ場で多数を占める「月極」利用者たちは、実際には「年極」であったり、「複数年極」でマイスペースを休日ごとに
楽しまれているのでしょう。

僕はアフターコロナ時代のアウトドアは、マイクロツーリズムでも思考は「旅」から「別荘」感覚に変化していくと提唱していましたが、
グランピングとキャンプという違いはあれど、ここではまさにその事実を確認させられた気がしました。
旅人でも観光客でもコアキャンパーでもない一般の方々が自宅から30分(遠くても1時間)圏内にアウトドアのマイスペースを確保する風景。

新しい市場がリアルに拡大している風景でした。

■成熟期はヨーロッパのライフスタイル?

「新しい市場の出現」と書いてしまいましたが、このライフスタイル・・・ヨーロッパではフツーに定着しています。
例えばドイツ。ドイツではこのライフスタイルを「クライン・ガルデン(小さな庭)」と呼び、フランクフルトの都会居住者が日常生活の
もう一つのスペースとしています。
「都会生活に少し疲れた瞬間」
「仕事のストレスからエスケープしたい瞬間」
「手軽に身近でリフレッシュしたい瞬間」
でも遠く旅行している場合でもなくといった都会居住者の望みをかなえてくれるライフスタイルです。

日本では高度成長期においては、アパレル、食べ物など「アメリカ」的ライフスタイルのカッコよさに憧れるアメリカ信奉が中心でしたが、
恐らく成熟期となっている日本ではこういったヨーロッパ型ライフスタイルへとシフトチェンジしている気がします。

今回はキャンプ場ということでその事実を確認しましたが、オーナーYさんとは「このライフスタイルにキャンプだ!グランピングだ!と
言葉遊びする必要は無いよね!」と会話しました。
実際、この素敵なキャンプ場においても、Yさんの奥様や利用者の奥様や彼女の中には多数が「水回りや暑さを考えると同行はしんどい」と
考えておられる事実もあるようです。
だとするとグランピングキャビンであればそんな女性たちも安心して日本版クライン・ガルデンの世界へご一緒することが可能となったりします。
せっかくのライフスタイルに奥様や家族連れで楽しめないと言うのも残念ですからね。
(一部家族から離れて一人で逃避行したいと希望される方もおられるかとは思いますが 笑)


一人でも多くの方が「日本版クライン・ガルデン」ライフスタイルを楽しんでも貰うために、キャンプスタイル対応なのか?グランピングスタイル対応なのか?
懐は広い方がベターかとは思います。

また今回は兵庫県西宮市のケースでしたが、日本国内でこの新しい市場に対応可能な「遊休地」はまだまだたくさん存在するとも思ってます。
グランピングリゾート、アウトドアリゾートで新規事業のアイデアを構築中の皆様にとっても一つの選択肢のキーワードになるかと考えます。

僕は僕でせっかく有意義なYさんとの出会いを頂戴したので、今後もコミュニケーションを深め新しい「マイクロツーリズム」の実現に向けて
ご一緒に何かできることも議論させていただければとワクワクしています。